きょうお読みいただいた箇所は旧約も新約も、いつかはこのようなことが起こる、と
恐れられて来たことです。そして2023年、聖書は実現していると感じる人も多いのです。
ハガイ書はすでに破壊と滅亡の後の時代。イスラエル王国は南北に分裂し戦いに敗れ、
南ユダはペルシアの属国となり、エルサレムの神殿は再建されないままでした。
ユダの人々の苦しみが敗戦だけで無かったことがハガイ書1章に書かれています。
農作物は不作で天候も不順。働いて得た収入も、まるで財布に穴が開いたかのように減り、
豊かさを感じられない人々は自分の家族を守ることに必死で、誰も神様のことを考えるゆとりがない。いまの私たちかと思うほど、ユダの人々は追い詰められていました。
なぜ主は神を忘れた人々に語られたのか。それは彼らが契約の民だからです。
お前たちがエジプトを出た時、わたしと結んだ契約は今も有効だ、と神は言われました。
出エジプト記で主は「わたしはあなたの神になり、あなたたちは私の民となる」と言われ、
シナイ山で主は彼らに、十戒をはじめとする律法を授けました。
「あなたはわたしをおいてほかに神があってはならない」 民が幾度 主を忘れても、主に逆らっても、わたしはお前たちと共にいる。わたしの霊はお前たちの中に留まる。
勇気を出せ働け、金も銀もすべて万軍の主であるわたしのものだと、約束の言葉を伝えました。
そして、今はまだ民の前で廃墟となっている神殿の前で、主なる神は
「神殿を建てよ。わたしはそれを喜び、栄光を受ける」お前たちが建てる神殿を栄光で満たし、そこに平和を与える、と言われたのです。
ルカによる福音書21章、神殿でイエスは、貧しい女性に弟子たちの関心を向けさせました。この女性はレプトン銅貨2枚を捧げました。捧げた金額はとても少ない。けれど、それは彼女の生活費のすべてでした。彼女はそれを捧げることを選びました。
イエスが弟子たちと共に訪れたエルサレムの神殿は、ハガイたちの時代に建てられた神殿にヘロデ大王が大掛かりな修復と増築を行った、大きく立派な美しい建物でした。
歴史学者はヘロデの時代の建築の技術の高さを語りますが、イエスの言葉の通り、この神殿は完全に破壊されました。
神殿が破壊される。イエスの名を騙るニセモノが現れて世界の終わりを予言し人々を惑わす。
戦争や暴動が起きる。クーデターや社会の崩壊が起こる。多くの人が死に、天変地異が起きる。
ここに書かれたことは、イエスの時代の後、さまざまなかたちで実現しました。
私たちが義務教育で学ぶ歴史の中だけでも、幾度も大きな戦いがありました。王国も帝国も、
社会システムも経済も、人間の予測を超えて崩壊するさまを、私たちは見て来ました。
今も、私たちは互いに言い合っています。気を付けなくてはいけない。騙されないように。
多くの人の目に怪しく見えることだけでなく、信頼して安心していた事の中にも問題がありうることを、残念ながら見つけてしまう事は多いのです。
イエスが「あなたがたは親、兄弟、親族、友人にまで裏切られる」と言われましたが、悲しいことに 血縁の家族だけでなく信仰の家族の内にさえ、信頼が破壊される事態は起きています。
歴史の中で信仰の先輩たちが経験した、真の神を信じる信仰によって、私たちの生活や命が脅かされる迫害の時代。信仰を持つ者の試練の時が、再び来るかもしれません。
イエスが語られた大きな地震や飢饉、疫病も、地球上に住む人類は幾度も経験しています。
どんな学びも知恵も、直面する事態の役には立たない。こんなことを実体験で知る事を、
私たちの誰も、望んではいない。それはもちろん、主はよくご存知です。
ハガイの時代、人々は敗戦や国の滅亡、そして捕虜となること、母国の荒廃を経験しました。
人間の力では未来を思い描くことのできない時、主はユダの人々に言われました。
「勇気を出せ。わたしはお前たちと共にいる。わたしの霊はお前たちの中に留まる」
イエスは危機の時代について、こう言われました。
「それはあなたがたにとって証しをする機会となる。だから、前もって弁明の準備をするまいと、心に決めなさい。どんな反対者でも、対抗も反論もできないような言葉と知恵を、わたしがあなたがたに授けるからである。」
イエスの弟子たちは迫害を受けました。聖書に書かれた以外にも迫害の時代はありました。
彼らはイエスの言葉を信じ、その時代の人々の前で知恵の言葉を語りました。
私たちが礼拝する場を与えられている今は、先輩たちが繋いできた信仰とイエスによる知恵の絆によって与えられたものです。
イスラエルの民が幾度も主に背いたことを、私たちは聖書によって教えられています。
ユダの人々がハガイの前で、神殿再建への意欲を持てずにいたことを、読むことができます。
聖書には信仰を持ち続けるよう励ます、力強い言葉が沢山あります。しかし、イエスは私たちに「あなたたちの神の毛1本も決して無くならない」と言われました。
主は必ず私たちを守って下さる。
「勇気を出せ。わたしはお前たちと共にいる。わたしの霊はお前たちの中に留まる」
危機を予告する前に、イエスは1人の、貧しい女性に目を向けさせました。
彼女は失望して神殿から離れることもできました。銅貨2枚で最後の食事をし、
静かに死を待つ、という選択肢もありました。
しかし、彼女は静かに決断し、手の中の銅貨2枚を祭壇に捧げたのです。
そのあと彼女がどうなったか聖書は何も語りません。彼女に将来の展望など無かったでしょう。生活の不安も、彼女の命も、銅貨2枚と共に神に捧げられました。
どんな学びも知恵も、直面する事態の役には立たない。
これまでのどんな経験も、未来を予測する力にならない時、あの貧しい一人の女性を見ておられたイエス・キリストの眼差しを思いたいのです。
イエスは彼女の苦しみ悲しみ、嘆きをご存知でした。
彼女がすべてを捧げた、その決断を主は知っていて下さいました。
廃墟となったエルサレムに立ち尽くすユダの人々に主は言われました。
「勇気を出せ。わたしはお前たちと共にいる。わたしの霊はお前たちの中に留まる」
天地万物を造られた万軍の主が、
すべてを わたしのもの と言われる主が、私たちと共に居て下さる神です。
お祈りいたします。
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